こんな紅魔館



 
  
薄暗い図書館に、その音だけが、響く。
 
「パチェ……?何をやってるの……?」
 
偶然遊びに来たレミリアは、偶然その場を目撃してしまった。
信じられない気持ちでいっぱいになりながら、その二人に声をかける。
 
「お、お嬢様!」
「レミィ?あなた、いつの間に……」
 
突然声をかけられた咲夜とパチュリーは驚きの声を上げたが、こちらをチラリと見ただけ。
すぐにまた視線を戻してしまう。
 
「そんな事はどうでもいいじゃない!それよりあなた何をやってるのよ?!」
「何って……見ればわかるでしょう?」
「見てもわからないから聞いてるのよ」
「あなた……目が悪かったかしら?」
「目でわかっていても頭でわからないわ。説明して頂戴」
 
面倒ね、と言わんばかりにパチュリーはため息をつく。
視線はそのまま、手を止めることもない。
咲夜はと言えば、ただ黙ってそれを見つめるばかり。
その様子にレミリアは苛立ちを覚えた。
 
 
 
 
 
 
「丁度今、アヒルの吸血鬼を倒し終わったところよ」
 
そう言ってパチュリーは、手にあるコントローラーを握りなおした。
 
 
 
 
 
「ひどいわパチェ!こんな面白そうなものどうして一人で遊んでいるのよ?!」
「メガドライブというそうよ。外の世界から最近流れ着いたって魔理沙が持って来たの」
「そんな事どうでもいいわ!問題は私に黙って面白そうなことをしていたって事よ!」
「だってあなた、寝てたじゃない」
「咲夜も咲夜だわ!どうして私を呼ばないのよ?!」
「珍しかったもので、つい見入ってしまって……申し訳ありません」
「もういいわ。とにかく貸して!それやらせて!」
「嫌」
 
 
ぽよぉんぽよぉんと、図書館にはそんな音が響いていた。
 
今日も紅魔館は概ね平和である。





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