待っているだけの話





「ぁ……や……っ」



闇に包まれた部屋に、彼女の声が、響く。



「ひゃっ?!あ、やっ!めいり……っ!」



彼女の熱い吐息が首元にかかる度に、どうしようもないくらい、気分が高ぶって。



「あっ、んん……っ」



少し潤んだ瞳、汗で濡れた髪、熱に浮かされた、その表情。



全部全部、可愛くて。

全部全部、愛しくて。



「あっ、はぁあっ、んっ、ああっ、あああっ!めい、り……っ」



彼女の声に、少しずつ余裕がなくなっていく。
それに合わせて、自然と私の動きも激しくなって。



ぐっと、細い彼女の体を抱き寄せる。



「咲夜さん……大好きです……」



耳元で、そっと囁く。

少しして、ぐっと、背中に回された彼女の腕に力がこもった。

きっと、これが返事なのだろう。
言葉にしてくれない事など、わかっていたけれど。

少し、寂しい。

そんな事を思いながら、私たちはそのまま二人で果てた。





「ねぇ、美鈴」





心地良い気だるさの残る中、珍しく彼女が私に抱き付いてきて、唐突に首元に噛みつかれた。



なんでこんな事をするのかと問い詰めてみれば。



「……あれ、反則よ」



そう言って、顔を背けるのだ。

その仕草の方が反則だと思いつつ、苦笑いを浮かべながら彼女をぎゅっと抱きしめる。



『本当に、大好きですよ?』



そう返せば、きっとまた噛みつかれるのだろう。

それでも、きっと私はつい言ってしまうのだ。



いつか、恥ずかしがり屋なあなたが同じ言葉を返してくれるまで。





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