名前を呼ぶだけの話





「咲夜さん」



名前を、呼んでみる。

うん?と首をかしげてこちらを見上げるその仕草が、どうしようもなく、可愛くて。

ぎゅっとぎゅっと、抱きしめた。



「咲夜さん」



──もう、なによ?



笑い混じりのその言葉が、どうしようもなく可愛くて。

もっとぎゅっと、抱きしめた。



「咲夜さん」



そう、愛しいあなたの名を呼ぶだけで。
心がぎゅっとぎゅっと、締め付けられて。



好きです。大好きです。



そんな想いを、あなたの名前に全部全部詰め込んで。



「咲夜さん」



こうやって、何度だって、あなたの名を呼ぼうと思う。



──美鈴



あなたが、私の名を呼んでくれるかぎり、ずっと。





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